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へっぽこ物理学:10^-24kgと10^-19mとは(後編)

前記事
10^-24kgと10^-19mとは

さて、まずは余剰次元理論について考えて見ます。
我々が存在する次元は、説明するまでもないと思いますが3+1次元(縦・横・高さ+時間)として存在しています。
座標で表すとx、y、z、ict(i=虚数、c=光速度、t=時間)
余剰次元とは、その3+1次元に、更に次元を加えたものの通称です。
SFなどでも良く聞くものですが、これがいったいブラックホールと何の関係が有るのか?

元々余剰次元の考えは、素粒子関連の複数の理論の矛盾点を補完し、統合するための理論である『超弦理論(ひも理論)』を構成する上で欠かせない要素です(超は、超相対性の意)。
現在よく知られる一般相対性理論量子力学でさえ、各々の理論の中に未解明の部分や、お互いの理論同士を完全に組み合わせると矛盾を生じてしまう部分を内包しています。
それらを統合するために考え出された物の代表がこの超弦理論ですが、これはどういった理論なのか。

簡単に言うと、『この世界に存在する全ての素粒子は、1つの極微細なひもである』という考え方です。
素粒子の性質の違いは、ひもの振動の仕方によって区別されます。

himo1

この超弦理論には5種類のモデルがあり、それぞれを統合するために9+1次元が必要になるそうです。
私にはこの9+1次元を導き出すための計算が理解できるほど頭の出来はよろしくないので、9という数字自体にはあえて触れませんが、とにかく多くの余剰次元を必要とするのです。
※一応、光より速い粒子「タキオン」や負の確率になってしまう「粒子ゴースト」を存在しないようにする数字らしいですが。

参考までに、超弦理論を更に発展させたM理論では10+1次元が必要なようです。

ちなみに、次元が増えたからといって、時間が空間みたいに移動できるわけではありません
+1次元と表記されるように、時間の次元は常に別枠です。
座標も、上記で触れたように時間の座標はictであり、t単独ではありません。
これは、光速度不変の法則の保護と、虚数により時間の方向を不可視化するためのものです。

これらの余剰次元は普段はコンパクトにまとめられており、この余剰次元によりひもの振動に制約を与えて、粒子の形をとるらしいです。
ビッグバン直後のようなエネルギーが高い状態だと、通常時でも10次元で存在していたようですが、次第にエネルギーが弱まった6次元は歪曲し、小さく丸まってコンパクト化されたようです。

このコンパクトにまとめられた余剰次元は、カラビ-ヤウ多様体という形に巻き上げられているようです。
カラビ-ヤウ多様体の画像はこちら

また理論によっては、カラビ-ヤウ多様体はミクロではなくもっと巨大に存在し、その一端がミクロの世界で観測できるとしている理論も新しくあるようですが、どちらも実証されているわけではないのでこの場合どちらが正しいかは置いておきます。

この余剰次元のサイズは、プランク長である10-35mというとても小さい領域に巻き上げられ、現状の観測法では観測不可能だとされていたようですが、近年では10-17mほどである可能性も示唆されているようです。まあそれでも勿論陽子などよりも十分に小さいわけですが。
中には0.1mm程に拡張している時もあると提唱している理論もあるようですが、とりあえず今回は除外で。
Tev重力理論というものを導入すると、Tevオーダーのエネルギーに高まると観測可能領域まで余剰次元が大きくなるようですが、このTev重力理論に関する論文を読んでいないため、ここも理解不十分です。
※ちなみに、陽子レベルで7Tevというエネルギー(正面衝突なら14Tev)は質量の約3700倍に匹敵する程の高エネルギー状態にあります

これらを一言でまとめると、とにかく『すんごく小さい視点になれば余剰次元が見える』ということだけ分かれば大丈夫です。


次に、ブレーンワールドについて。
ブレーンワールドは、余剰次元理論の中で現れる宇宙モデルの概念です。
これは余剰次元が大きいものと考え、我々の居る3+1次元世界を1つの膜の世界と仮定し、その垂直方向に5次元以上の余剰次元で構成される、バルクと呼ばれる空間が広がっています

himo2

超弦理論によれば、粒子は全てひもで構成されています。そのひもの両端がブレーン上に張り付き存在するため、通常の物質は光も含めブレーン上にしか移動できません

しかし、ひもには2種類あります。
大半の素粒子は開いたひもで存在するために、ブレーンに捕らえられますが、重力を与える素粒子である重力子(グラビトン)は閉じたひもで存在するため、ブレーンに張り付かずに自由にバルク上でも存在できます。
これにより、重力は余剰次元に干渉できる唯一の力となるのです。

しかし、何故重力なのか?
元々この考えは、量子力学における力を伝える4つの力である電磁気力(フォトン)強い相互作用。原子核の結合力(グルオン)弱い相互作用。β崩壊など(Wボソン・Zボソン)重力(グラビトン)のうち、重力だけが極端に弱いことに対する仮説のひとつとして提唱されました。
一番強い強い相互作用を1とすると、電磁気力は10-2弱い相互作用は10-5程度であるのに対して、重力は10-40しかありません。
これは、重力が余剰次元に染み出している分、ブレーン上における力が見かけ上弱くなっているためだと考えられています。
3次元では2つの物体の距離が 1/2 になると重力は4倍になりますが、4次元では8倍、5次元では16倍、9次元では256倍になります。
つまり、『余剰次元存在下では、重力はとても強くなる』ということです。

himo3


さて、これらの2つのことをまとめてみましょう。
余剰次元が垣間見える一応の上限である10-17を超えると、余剰次元に染み出した重力が本来の力を発揮し、シュバルツシルト径の10-54にならずとも、ブラックホールが生成できる可能性がでてくるわけです。
ちなみに、量子論不確定性原理によると、粒子は波としても振舞う為、ある程度のぼんやりとした空間を必要とし、、その範囲は粒子のエネルギーが増えるにつれて狭まります。
その範囲が、LHCの場合では約10−19mだそうで、これが粒子1個のエネルギーを閉じ込められる最小の領域となるようです。
LHCでも条件を満たすのはぎりぎりのようですね。
また、これらのブラックホール生成の過程も、ここまでの流れを見て分かるように、数々の未検証理論の元で成り立っています
今回は趣旨が変わるために説明を省いた理論も更に関わってくるため、果たして本当に出来るかどうかは神のみぞ知るといったところでしょうか。
しかし、逆を言えば、ブラックホール生成が1つ実証されるだけで多くの理論の実証に一歩近づくため、実現してほしいですね。何よりシュタゲクラスタとしては更に妄想が膨らみますな
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[ 2013/08/13 00:51 ] へっぽこ物理学 | TB(0) | CM(0)

へっぽこ物理学:10^-24kgと10^-19mとは

【へっぽこ物理学】とは?
steins;gate内で展開される、物理学に代表されるの理論について考察していくコーナーです。
あくまで現実に実在する理論・解釈に沿って行うため、アトラクタフィールド理論などはこの場合除外されます。
また、現実には理論構築が未完成の理論や解釈も多々含まれますが、あまりにもトンデモな範囲でない限り、それらの理論も交えて考察をしていきます(そうでもないと量子論すらも扱えない)。

また、筆者である私は、専門的な物理学どころか高校レベルの化学物理すらもサボっていた似非理系です。
ですので、このコーナーは専門的な考察ではなく、あくまでsteins;gateの作品に振れてきた中で、私が気になって調べたり考えたりしたことをまとめてあるだけのものです。
もちろんミスや誤解釈もあるかと思いますので、ご了承ください
殆どの事はsteins;gateのwikiなどで有志の方が説明・考察をまとめて下さっていますが、それを読んでもなお疑問が解けなかったものを中心に調べてみました

※専門的に学んだ方からすれば初歩的な部分も、(私自身の理解の確認のために)可能な限りじっくりと確認しながら解説していきます。

その他の考察・解説はこちら
STEINS;GATE シュタインズ・ゲート まとめwiki
Steins;Gate/シュタインズ・ゲート 攻略・考察Wiki

今回は、本編の紅莉栖がゼリーマンについてダルに説明する際のセリフより、
『10-24kgの質量を、10-19mのところに押し込んで過去に送る』
という部分について考えていきます。

これは、簡単に言えばダルと紅莉栖が代弁してくれている通り『凄く狭いところに無理やりねじ込む』ことです。
ここで私が気になったのは、この数字についてです。

10-24kg 10-19m

これは何を意味する数字なのか?
その答えを出す前に、まずは2人が何の話をしているかを整理してみましょう。

状況は、SERNへのハッキングによりゼリーマンズレポートと、Zプログラムについての情報を入手した状態です。
SERNは、LHCによるカー・ブラックホール生成を利用して、タイムトラベルを実現しています(実現可能云々は主題と異なるので無視)
ブラックホールは、ある質量シュバルツシルト半径と呼ばれるサイズ以下に圧縮することで生成されます。
物質は同じサイズで見ると大きい質量ほど物をひきつける重力が増していきます。つまり、同じ質量ならサイズが小さいものほど重力が強くなります
重力は物質のみならず光にも影響を与え、重力が強くなると中心への降下速度が光の速度よりも早くなり、光さえも脱出できない状態になります。この時の質量に対する大きさがシュバルツシルト半径であり、その境界面のことを事象の地平面と呼びます。
そのシュバルツシルト半径(rg)を求める式が以下になります。

rg=2GM/c2

G=万有引力定数(6.673 84(80)×10-11m3s-2kg-1)≒6.7×10-11m3s-2kg-1
M=質量
c=光速度(299,792,458m/s)≒3×108m/s


試しに、wikiなどでブラックホール関連のページでよく見る地球のシュバルツシルト半径を求めてみましょう。
約9mmだそうですが、この式ではどうなるでしょうか。

ちなみに地球の質量は5.973 6×1024kg≒6×1024kgです。


rg=2(6.7×10-11m3s-2kg-1)(6×1024kg)/(3×108m/s)2


簡略化するために分母と分子をそれぞれまとめると、

=80.4×1013m3s-2/9×1016m2s-2

そして分子を分母で割ると、

=8.93×10-3m≒9mm

となります。

確認が終わったところで、この計算式を踏まえて話を進めていきましょう。
まず、紅莉栖の説明で言う質量について。
10-24kgが何の質量なのか
これはおそらく、話の流れから推測すると水素(H)だと思われます。
もっと厳密に言うと、水素を構成する原子核の陽子の質量です(水素原子は、同位体を無視すると陽子1つと電子1つの構成)。
SERNはLHCを使ってブラックホールを生成します。LHCは、極限まで加速した陽子線を反対方向からぶつけることにより、高エネルギーの反応を生み出す装置です。
よって、ブラックホール生成に用いられる物質もこの陽子であると考えられます。
しかし、ここでひとつの大きな問題が浮上します
実は、10-24kgだと、水素(陽子)の質量と単位がずれてしまうのです。

実際に計算して見ましょう。
水素原子の原子量=1.00794(7)g/mol≒1g/mol
アボガドロ定数=6.022 141 29(27)×1023mol−1≒6×1023mol−1
原子量は1molあたりの質量なので、1個あたりの質量を出すために、アボガドロ定数で割ります

1g/mol/6×1023mol−1
=0.166...×10-23g≒1.67×10-24g


となります。
そう、単位がkgではなくgなんです。つまり、
=1.67×10-27kgが水素原子の質量になります。
※ちなみに陽子は、水素から電子の質量9.10938291(40)×10−31kg≒1×10−30kgを引いた値。
比較しやすくすると、
=0.001×10−27kg程度の差なので、≒としてみても問題はありません。


さて、この差1000倍は単なる設定ミスでしょうか?それとも水素(陽子)ではないものを想定しているのでしょうか?
仮に陽子ではなく、原子量(分子量)1000のものを想定していた場合、それは鉛やウラン、ブドウ糖などの3倍ほどの質量になります。
流石にこの大きさのものをLHCで扱うことは出来ないかと思われますので、前者が正解なのかもしれません

と、ここでいったん切り上げたんですが、もう1つの可能性を考えてみました。
LHCは陽子を加速させることによって最大7TeV(テラエレクトロンボルト)のエネルギーをもたせることが出来るそうです。
1eVは1.602 176 565(35)×10−19J≒1.6×10−19Jですので、7TeVならばその7兆倍、1.12×10-6Jとなります。
これを、エネルギー質量の等価性を示すアインシュタインの式に代入すると、

E=mc² J=kg・m2/s2
1.12×10-6J=m(3×108m/s)2
m=1.24×10-23kg


となり、10-24kgに大分近づいた値になります。
しかしこれは、実際にはエネルギーを質量に換算しただけで、圧縮される質量自体は陽子のまま扱われるのか、エネルギーを質量に換算した値を実際の質量として考えるのかまではわかりませんが。

間違っている場合はご指摘いただけると幸いです。

さて、話を戻します。
仮に1.67×10-27kgを軸として話を進めていきましょう。
これを先述のシュヴァルツシルト半径の式に代入してみましょう。今回は途中式は簡略化します。

rg=2(6.7×10-11m3s-2kg-1)(1.67×10-27kg)/(3×108m/s)2
=1.24×10-54m


さあ、ごらんの通りものすごく小さい数字が出てきました。
これがどのくらい小さいのかを比較したいところですが、残念ながらここまでくると比較対象が存在しません
プランク長といわれるプランク単位系の長さが1.616 199(97)×10−35mですが、これ以下のサイズでは今現在物理学的に意味を持つものは知られていないそうです。(私はプランク単位系については正確な理解は出来ませんでしたので、説明も控えさせていただきます。)

さて、この1.24×10-54mという値、またもや紅莉栖の説明と大幅なずれがある・・・かと思いきや、これには理由があります。
大体この手に関する説明はどこも同じで、
『LHCでは10の-24乗kgに相当する質量を10の-19乗mという狭い領域に集中させる事ができる。
従来の重力理論では、10の-24乗kgの質量を10の-51乗mまで圧縮しないとブラックホールにはならなかった。
しかし、超ひも理論のブレーンワールド仮説が正しければ余剰次元理論で、10の-18乗m程度でブラックホールが形成される。』
という文章が出てくるかと思います。
steins;gate まとめwikiも同じですね。

さらっと流されていますが、余剰次元理論とかブレーンワールドについての説明がなされていません。
というわけで調べてみました。

後半はこちら
[ 2013/07/31 01:48 ] へっぽこ物理学 | TB(0) | CM(0)





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